【ユメ日記10ページ】サンタさん、これが欲しいです!

ユメ日記

今年も来ました。いや、来ちゃったというべきか。

なんとなく気づいていたんだよね。だって、聞こえてきてたもん。あの、シャンシャン♪シャンシャン♪シャンシャン♪シャンシャン♪っていうね、鼓膜を震わせる音が。来ないでって伝えておいたはずなんだけどね。こう「来年もまた来るからね!」「いや、うちは大丈夫ですよ。耳が痛くなるその鈴の音が聞こえなくなるくらい遠くに……北欧かどっかにでも行ってください!」って、真顔で伝えておいたのに。やっぱり性懲りもなく来たわけです。今年もクリスマスの魔物こと『サンタさん』が。

「え?また同じ衣装ですか?去年も、そのまた去年も同じ衣装でしたよ?ひょっとして、それ一着しか持っていないんですか?」って嫌みったらしく言って追い払ったつもりだったんだけど、今年も意気揚々と嫌がらせのように甲高い鈴の音かき鳴らしながらこの街にやってきたみたい。

迷惑なんだよなあ……

やつがこの街にやってくるだけで、チキンやケーキを食べなきゃいけない雰囲気でてくるし、一人で過ごしたならば『クリボッチ』と命名されるし、ちょっと高価な買い物するだけで「プレゼントですか?」とか聞かれるし、さらには恥ずかしくなって「はい、プレゼントです」って強がり見せたら無駄におしゃれな梱包されて、帰って泣きながらそれを開けてさらに恥ずかしい気持ちになるし……

わざわざおしゃれな梱包してもらって自分で開ける作業。けっこう切ないからね。なんかあれ、そうそう、「わざと垂らしてそして拭く。同類のみわかる程度に……」みたいな。きっと僕がプレゼント風にそれを持っていたとしても、同類のクリボッチが見たらばれてると思う。「あっ、あいつ絶対自分で開けるぞ」って。

どうしてきちゃうのかな。僕になにか恨みでもあるんだろうか。

思い返せば、小学生高学年くらいを境にぱったりプレゼントを持ってこなくなった『サンタさん』。しかも、ラストプレゼントは辞書とか勉強ドリルとか……僕の頭を気遣ったアイテムばかりで、当時欲しかったゲームとかはパッタリ。最近に至ってはプレゼントすら持ってきてくれない。毎年家の近くまでは来ているはずなんだけど、断固としてプレゼントはくれない。どうでもいい鈴の音だけ振りまいて、肝心のプレゼントを忘れている。

ほんとあわてんぼう。あわてんぼうのサンタクロース。

「♪クリスマス前にやってきた♪」

ほんと迷惑だから。せめてクリスマス当日だけにして?あなたが慌ててクリスマス前にやってくるせいで、全世界の『クリボッチ』はその分孤独で辛い時間が長くなっているの。もう毎年来ているんだから慌てるのやめて。むしろ冷静に。もっと人生と心にゆとりをもって「♪クリスマス明けにやってきた♪」って心改めてほしい。

――――とまあ、こんなどうでもいい話をひっぱりっている時点で、名実ともに僕も『クリボッチ』なわけなのですが、結論、特にやることないので、本気でサンタさんから欲しいものを考えてみた。

社会人にもなると自由度が広がって、お金もそれなりに好きに使えるし、欲しいものは自分の力で手に入れることができる。推しグッズだって、高性能なパソコンだって、クレーンゲームへの散財だって、お金と時間が許す限りなんだってできる。

じゃあなに。今は手が届かないもっと高額なもの?車?家?土地?世界一周旅行とか?

……なんかねー、違うんだよね。

なんかオチ考えようかなーって思ったけど、無駄にまじめに考えた。そういえば、ほんとに今一番欲しいのってなんなのかなーって。大人になるとあんまないよね。そういうの。改めて考えるような時間も余裕もなかったりする。

で、いろいろ考えた末にたどり着いた結果。

ニコニコ動画とか見る人だったら知ってると思うんだけど、有名なアスキーアート。いつの間にか夢を失った大人たちに語り掛けるショボーン。

いつからだろう。夢を諦めて、生きているだけの人生を歩み始めたのは。昔はもっといっぱいやりたいこと、なりたいものがあったはずなのにね。

でも――

サンタさんには願わないで自分に誓おう。

夜空を見上げて。

夢を追い続ける道が途切れないように。

夢を見失わないように。

いつか夢にたどり着けるように。

……そんなことを夜な夜な一人考え過ぎていく、今年も一人のクリスマスイブなのでした。

あっ、ちなみに、今日の晩御飯はカニグラタンとお刺身とご飯にしたんだけど、カニグラタンじゃなくて実はカニドリアでして、ご飯&ご飯になった。ダブルで悲しい一日でしたとさ!

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